夏場に向けての読書ではなくw ただ真島母が購入してきたものを横取りして読了。
今、読むのを止められない作家は彼女しかいないです。新作はまだ読んでいないですが、これもかなり読みたかったので、数時間で読了。
内容はいつもの桐野節が効いた、泥臭い作品だと思いました。
救われない悪、邪悪そのものである魂というのは、遠藤周作も「真昼の悪魔」でも題材になっているように、非常に興味深いテーマです。果たして、悪そのものを救済するすべはあるのか? そもそも悪とは何か? これをえぐり出せる作家はかなり魂が鋭利なナイフのような感性であろうと思うのですが、桐野夏生はそれをやってのける素晴らしい作家だと思います。
大きなカタルシスもなく救いもなく終わるのは、桐野夏生らしいというかなんというか。
現実はそんなもの…かもしれません。しかしそれにしても、救われないな、という感じがします。だから読むためには体力が必要ですね。桐野作品に爽快感を求める方はいないと思いますが…。
ただ主人公のアイ子の実母が明らかになっていくあたりは、何となく早急な感じがしたので、もっと時間があればすっげー作品になったんじゃないかなーと思います。こんなに文化や風俗を描写できるなんてそうそういないので、何故か謎が解けるシーンはやたらとスムーズすぎてしまう感じがしてしまうのですよ。
ともあれ「グロテスク」好きならこれもかなり気に入るのではないかと。「残虐記」や「アウト」のような仕組まれた複線はあまりないので、そちらをお求めの場合は「メタボラ」がいいんじゃなかろうかと思います。